2011年7月11日月曜日

母乳育児の危険性

母乳育児は愛着形成をはじめ、その栄養価、免疫学的にも素晴らしいもので非の打ち所がありません!
しかし「母乳」にこだわりすぎて、ベビーの命が危うくなることがときに
あります。

 絶対に避けてもらいたい、そんな現場で起こっている現実をお伝えしたいと思います。

カンガルーケアを含め、生まれてすぐから(出なくとも)母乳を吸わせていることがよくあります。素敵な光景にみんなが幸せを感じる瞬間です。
 しかし、出産の疲れがピークに達したママ達は時に疲れ果てて、ベビーを抱いたまま寝てしまうこともあります。病院内では時に小児科が緊急コールされることがあります。「ベビーがぐったりしている」「ベビーが息をしていない」と。              
母乳で育児をしているか、ミルクを足して混合栄養にしているかにかかわらず、生まれて数日までのベビーはママのお腹の中の安定した状況から外界に出てきたばかりで、温度や外気、すべてのことに対して不安定であることを理解しておかなくてはなりません。

 また医療者は強要するのではなく、疲れたママを思いやることも大切だと思う。母乳育児にこだわりすぎて、瀕死の状態になるケースがみられることがあります。
 母乳外来に一所懸命通っているのだけど、なかなか母乳が出ない。ベビーも一所懸命吸い付いているけれど、徐々に吸い付きが弱くなり、むちむちだったのがだんだん細っていく。不思議と夕方以降の救急外来に「急に力弱くなって、泣き方が弱くなった気がするんです。」と慌ててママが連れてくる。
心拍は低下し、ベビーも動かない。何とか救えたものの、こんな苦しい思いをしなくても良かったのに。。。

 1ヶ月健診にいらっしゃると、上記ほどにならずとも明らかに体重が増えずに思い悩んでいらっしゃるママ達が結構います。
 母乳育児が素晴らしいものであることは疑いようがありませんし、粉ミルクを推奨しているわけではありません。ただ、命の危険を冒してまで母乳「だけ」ではなく、あんまり無理せずバランスを考えましょう。今の粉ミルクはそうはいってもとっても良くなってきているので。
 是非、小児科医にご相談ください。何事も思い込みとやりすぎはとっても危険です。