4月に定期接種化したばかりの子宮頚がんワクチンについて、接種後の原因不明の痛みやけいれんなどが起きたという報告が多数あることを踏まえ、厚労省は「積極的な接種のすすめを控える」考えを示しました。
厚生労働省のワクチンの安全性を検討する専門部会は、接種と上記の症状に関連があるかどうか調査すべきとする意見をまとめました。部会からは、ワクチンと症状との関係は不明なものの、接種に伴い慢性的な痛みが続く「複合性局所疼痛(とうつう)症候群」などが発症している可能性を調べる必要はあるという意見が出ています。
一方で、重大な健康被害(副反応)の発生頻度が他のワクチンと比べて特別に高いことを示す医学的な情報は不十分ということで現時点で定期接種の中止はしないということです。
こうなりますと、接種を受けるお子さんや親御さん、また接種医もかなり混乱してしまうことが予想されます。この疾患の性質から、接種をすぐには行わず厚労省の調査結果を待つ、という判断も出てくるだろうと思います。
子宮頚がんワクチンに限らず、予防接種には副反応が起きる可能性がゼロではありません。そして、可能性は低いといっても実際に重篤な副反応(健康被害)が起こってしまうこともあります。クリニックでは「ワクチンで防げる病気はワクチンで防ごう」という考えに変わりなく、これまでどおり真摯に接種に臨みたいと思います。