夜尿外来に患者さんがいらした際には、まずお話をよくうかがって、どのようなタイプの夜尿かしぼりこんでいきます。また昼間のおもらし(尿失禁)がないかなども重要な部分です。そのうえで、治療が必要かどうか、治療の開始時期などを考えていきます。併せて生活のアドバイスも行います。今回は代表的な治療法についてご紹介します。
・抗利尿ホルモン
水を体にためる方向に作用するホルモンの治療で、効果の出現が早い方法です。ガイドラインでは、このあとのアラーム療法と並んで最初に選択される方法のひとつです。これまで点鼻のお薬でしたが、最近になり内服タイプも発売となりました。効果は高いですが、中止後の再発率も40~100%と高いといわれます。副作用に注意が必要で血液検査などが行われます。
・夜尿アラーム
夜尿の水分を感知して警報が鳴る装置です。有効率が高く副作用がないため、第一選択として推奨される方法です。多くのお子さんの場合ブザーが鳴っても本人は覚醒せず親が起こす必要があるため、家族の協力体制が重要です。
・三環系抗うつ薬
アナフラニール、トフラニール、トリプタノールなど(この順で効果が強い)の薬があります。日本では第一選択として用いられること多い方法です。尿意での覚醒を促進させる効果があります。副作用の発現が比較的多く注意が必要です。
・副交感神経遮断薬
ポラキス,バップフォーなどの薬が代表的です。頻尿や膀胱の容量が少ないと判断される場合に用いると有効性が高いといわれます。夜尿アラーム療法や抗利尿ホルモンが無効の場合、併用で追加する場合があります。
その他、有効率にばらつきはありますが鍼治療もあげられます。
これらの治療は、患者さんの年齢や夜尿のタイプ、ご家族のサポート体制などもかんがみて、生活のアドバイスとともに行っていきます。お気軽にご相談ください。