近年メタボリックシンドロームが動脈硬化を進行させる状態として注目を集めておりますが、メタボリックシンドロームは幼児にも存在し、メタボリックシンドロームの学童にエコー(超音波)検査をしますと早期の動脈硬化所見が認められます。
また、事故や戦争で亡くなった小児や若年者の病理学的(解剖学的)な別の検討では、たとえ小児であっても、メタボリックシンドロームの状態にあると動脈硬化の進行がみられるという事実が報告されています。
こうしたことから、多くは成人期に発症する急性心筋梗塞や脳梗塞などの心臓や脳の血管の病気を予防するためには、成人を対象としたアプローチ(指導や啓発活動など)のみでは不十分と考えられ、生活習慣が確立する途中にある小児期にアプローチする方がより有効である可能性が高いと考えられます。そして、一般学童を対象にした研究では、肥満や高脂血症に対し、運動習慣が好影響を与えることが認められています。
しかし、「小児期から運動する習慣を身につけましょう」という目標(課題)は、どのように実践していくか、という困難さも併せ持っています。実際に、幼児や学童に運動をさせましょうといっても、こども達はなかなか行いませんね。こどもの運動は“遊び”の中にこそあります。また、こどもの興味は短い時間でころころと変化しますので、そのこどもに合わせつつ、一緒にからだを動かして“遊ぶ”ということが大切です。
運動習慣を身につけるには継続することが重要ですが、それには楽しくないと続かないわけで、そこにこそ遊びの重要性があると思います。
今回、当クリニックでの第一回「健やか親子教室」は、親子一緒での遊びをとおして、幼少のころから運動習慣をつけることで丈夫なからだをつくり、怪我や疾病の予防につなげ、また生涯を通じての運動習慣の基礎になってほしい、と考えて企画いたしました。今後も体育の先生方と連携をとりながら継続していきたいと思いますので、ご家族みなさんでご参加してみてください。