2011年10月22日土曜日

任意接種はいらない!?①感染症とVPD

10月に入り、インフルエンザワクチンの接種が開始になっております。今年度は、昨年と異なり任意接種に戻っているインフルエンザワクチンですが、この任意接種の重要性について再度掲載したいと思います。

予防接種には、定期接種(法定接種)と任意接種がありますが、任意接種は必要ない(接種しなくていい)と考えられる方は少なくありません。

しかし、ワクチンで予防する感染症そのものには、任意も定期もないとは思いませんか?
任意接種も定期接種と同様に非常に重要である、ということを3回に分けて書いていきたいと思います。

このことを考える際に、まず感染症の話からします。世界中には、細菌やウイルスなどによる感染症が非常に多く存在します。中にはワクチンがないために、有効な予防手段がなく、毎年何十万、何百万という命を奪っているマラリヤやデング熱のような感染症もあります。その中でワクチンが開発されている病気は少数派であり、これらのワクチンで防げる病気のことをVaccine Preventable Diseases (VPD) といいます。

VPDについては、「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会のホームページに詳しく掲載されております。日本で任意接種に位置づけられている疾患には、冒頭のインフルエンザ、B型肝炎、ヒブ(インフルエンザ菌)感染症、肺炎球菌感染症、水痘、おたふく、子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス感染症)など数多くあります。また乳幼児に重篤な症状をもたらすことがあるロタウイルス感染症(胃腸炎)のワクチンは国内では未承認です(日本小児科学会から厚生労働省に早期導入の要望書が提出されています)。

「知らなかった」ためにワクチンの接種をしなかったり、ワクチンの国内承認が遅いために接種できずに、VPDにかかってしまい命を落としたり後遺症が残ったりする方が実際にいらっしゃるわけです。
ヒブや肺炎球菌による髄膜炎・脳炎に限りませんが、実際の診療現場で無念さと悔しさを味わっている小児科医は数多いことと思います(②に続く)。

参照:「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会のホームページ http://www.know-vpd.jp/index.php