2014年9月3日水曜日

デング熱について



日本国内で感染したデング熱の患者さんの報告がありました。数十年ぶりとのことで、報道で見られた方も多いかと思います。

原因はデングウィルスというウィルスで、潜伏期間は37日と言われています。高熱、激しい頭痛・関節痛、嘔吐、発疹などを伴い、発疹は発熱してから34日後に体幹から出現します。約1週間で症状は良くなりますが、まれにデング出血熱という重症な病態を起こすことがあり、念のため解熱までは経過を慎重に見ていくほうが良さそうです。

ウィルスをもったネッタイシマカやヒトスジシマカという蚊に刺されると感染しますが、ウィルスを媒介する能力がより高いネッタイシマカは日本国内には生息していないようです。基本的には蚊を介さずに人→人へ感染することはありませんので、そこは安心材料のように思います。

今回は代々木公園での感染ですが、デング熱を疑って検査しなければ診断が困難なため、これまでも散発的に患者さんがいらっしゃった可能性は否定できないかと思います。この時期の発熱、発疹、消化器症状ということになると、エンテロウィルス感染症(いわゆる夏風邪)なども鑑別に入ってくるかと思いますが、典型的な発疹だけを見ると麻疹(はしか)に似ています。

デングウィルスに感染しても無症状や軽症で終わる場合も多いと言われていますが、特化した治療法はなくまれに重症化することもありますので、この12週間代々木公園付近に行かれて気になる症状がありましたらご相談ください。公園などへお出かけの際は虫除けスプレーなどによる対策をぜひお願い致します。