2011年9月6日火曜日

「親」を考える


先日、バラ色の聖戦というドラマ(テレビ朝日 日曜夜23時)の撮影が当クリニックで行われた。
俳優の迫真の演技とその緊張感は、その場にいる者にしかわからないだろう。そして、何よりもそれ以上にすごいと思ったのは子役達の存在である。大人ですら演技における集中力を高めるのが大変なのにもかかわらず、子役達はそれと同じ事をやってのけてしまっている。
子役達がいるということは当然その母親達も現場に大勢いる。このドラマの内容からもわかるように、社会というのはとっても複雑で「親」になるということがどれだけ精神的・社会的に大きな責任であるかを考えさせられる。社会における「親」とは何なのか?それまでの「個」としての女性・男性との違いは何か?
「こどもは社会の宝」と言わるが、本当にこども中心の社会なのか?精神的な「親」になりきれていない社会的「親」すなわち大人中心の社会ではないかと、日本の現状に疑問を感じている小児科医は少なくない。
発展途上国に行くと、こどもたちが苦しみ命を落としていることを目の当たりにする。これは衛生環境によるところが大きいが、貧困による栄養問題、出産時の管理の問題などがある。しかし、今の日本は「生まれて当然」「元気に生活して当然」など物質的な問題や経済的な問題の多くが改善されたことによる「表面的な家族生活」は送っているものの、最も重要な「こどもの心」が置き去りにされているように感じる。
小児科医は、こどもの心と体を診ます。こどもはご飯を食べ、時間さえ経てば大きく成長します。しかし、「強くて優しいこころ」は育っているのだろうか?今一度振り返ってみたい、「我が子に寂しい想い」をさせていないだろうか?「親子の強い絆」となる話し合いやけんかをしっかり向き合ってしているだろうか?

普段ドラマを見ることはないが、社会を反映しているだろうこのドラマを見てみようと思う。